入院9日め。透析お休み。
退院後に通う病院を決めなくてはいけない。
退院したら働きながら透析に通うことになる。
当然のように夜間透析をしてくれる病院に限られてくる。
この病院は夜間透析をしていないため、
どこか別の病院に通わなくてはいけない。
これから永きにわたって通い続ける病院を決める。
ここは安易な選択はしちゃいけないような気がする。
病室や施設を見せてもらい、話を伺い、
充分に比較して納得してから決めたいと思いながら。
紹介される病院側には、医師の紹介が必要だと言われ、
あっちもこっちも見て比較したいと言うのは、
紹介する側の病院の手を煩わせてもいけないかなと、
無理を言うのもはばかられ・・・・。
結局、充分な下調べもなく、
家から一番近い病院を紹介してもらい出掛ける。
十数年前そこに病院が出来たことは知っていたが、
何科の病院なのかよく知らず(知ろうともせず)、
患者の出入りをあまり見ないような暗い印象の病院だった。
が、応対はとても丁寧親身で、施設も綺麗で清潔そうで好印象を受ける。
施設等の優劣の判断基準を持たないから、
説明の窓口に立つ人の人柄みたいなものの印象が決定的な要素になる。
来週から夜間透析の受け入れが可能か確認し、仮予約する。
その足で、主治医を訪ねる。
同級生の主治医は腎臓医では無いが、
彼を主治医としてここ数年彼の指示に従ってきた。
血圧の薬も減塩生活もシャント手術も透析も彼の指示に従ってきた。
ただ透析を決断するタイミングだけは指示通りじゃなかった。
主治医はもっと早いタイミングを想定していた。
「透析、どう?」
「針が痛くて、サ。」
「どれ?シャントはイイ感じだね。」
「ところで、今後の病院だけどさ。」
「どこにした?夜になるよね?」
「今、駅南に行って来たんだけどね、どうかな?」
「イイと思うよ。植村先生はまだ居た?僕もお世話になった。」
「そうか、じゃ、決めてイイね。」
「イイと思うよ。」
「ありがと。で、今後、薬とかはどうしたらイイ?」
「駅南の指示に従わなきゃ。」
「わかった、そうするね。」
主治医のお墨付きをもらえたので、
比較検討はやめにして病院を決定する。