一瞬にして汗が吹き出し、体はエビぞり、両手は固く握りしめられる。
引き続き、2刺しめ、3刺しめと刺される。
通常2刺しめはほとんど痛みを感じないのに、3刺しめもまだ痛い。
う~っと、うめき声がでてしまう。
「はい、うがいして下さい。」
この状態で、大丈夫?とか聞かないのか、と思いながら、
相当凹んで力無くうがいをする、水を口に含んで流しだすだけだが。
「はい、口を開けてください。」
え?もう?麻酔が効いてくるまで待たないの?
まだ、ズンズンしていて心臓もドキドキしてるけど・・・・。
ガッツ~ン!
また、ぶっ叩かれたような、ぶっ刺されたような、とんでもない痛み。
麻酔注射の時と同じ、痛みというより衝撃が体中を突き抜ける。
麻酔、効いてないよぉ~
膿の塊のところをメスで切ったんだろうと思われる。
うめき声は高まる。耐えがたい、やめてもらいたい。
さらにガッツ~ン!
膿を押し出しているようだ。
もうダメだ、意識が飛びそうだ。
「はい、うがいして下さい。」
って、2度言われてハッとした。朦朧としていたのだろうか。
まったく力無く、口に水を含んで、ベ~っと流しだす。
すごい血が流れ出てくる。
何回か繰り返すが、水を含むたびに血が流れ出してくる感じがする。
うがいのコップの水を3~4杯おかわりしただろうか、
一向に血は引かなく疑問に感じる。
横についていてくれる看護婦さんは何も言わないけど、疑問が膨らみ、
「これ、ず~っと続けますか?」
「あんまりやると、血が止まりにくくなります。」
はぁ~?なんだってぇ?だったらもっと早く言ってよ。
「じゃ、やめます。」
「はい、今日はこれで終わりです。お疲れさまでした。」
え?終わりなの?先生は?一言も言わず?
先生を探すと、次の患者さんのカルテを見ている様子。
口の中の痛みは尋常ではなく、治療椅子から立ち上がると、
歩く力も薄れてしまっているような状態だ。
「ありがとうございました。」
院内中に聞こえるように先生に向かってお礼を言う。
他の患者さんや看護婦さん達が奇異に感じているような、
そういう視線を感じたのは、気のせいか?
あれだけうめき声をあげたから、意気地なしとか思われてるのか。
とにかく痛みはひかず、耐えがたく、一刻も早く帰ろうと、
もらった痛み止めを服用し、家路を急いだ。
それから一時間くらい横になっていたものの痛みはひかず、
透析に行く時間になったので、ふらふらとシャワーを浴び、
どうにか透析に出かけた。
透析を始めて1時間くらいで、ようやく痛みが引いてきた。
あ~良かったぁ、これで楽になれる。
と思ったのは、大間違いで・・・・(
つづく)