初めての透析(1)

その日の朝は普通にやってきて、時間に余裕はあるはずなのに、
どことなく慌ただしく、何か忘れ物があるような気持ちで家を出る。

雨がポツポツ落ち始めた。

入院の手続きを済ませ、病室で病院の寝間着に着替えた。
今日から透析を始める。

さてどうしたものかと、妻と待つ。

何をするでもなく昼になり、
これなら午後からの入院でも良かったのに、とか言ううちに、
初めての病院のご飯が運ばれてくる。

これが透析食なんだ。
どの程度の味付けか興味津々妻と少しづつ味見する。
「旨いじゃん。ちゃんと味がするなぁ。」
「ほんとねぇ。」
減塩でこの味付け、妻と感心する。

昼食も済み、妻も病院から帰り、ひとりの病室でウトウトすると、
「それでは透析に行きますから。」
看護婦さんが呼びに来た。

「あ、はぃ・・。」<来た!来た来た!>
慌てて準備する、妻がちゃんと準備してくれてあったのに何故だか慌てる・・・。
<え~っと、バスタオルと普通のタオルとティッシュペーパーと、それとぉ・・・>
「じゃぁ、行きましょうか?」
「あ、はい・・。」<行くんだ、ほんとにもう行くんだ。>

(「初めての透析(2)」へつづく)


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