初めての透析(4)

透析が始まってしまった。

「透析をするなんて人生終わりだ」なんて覚悟も無いくせに思っていた。
その「透析」という世界に突入してしまったのだ。

透析に陥らないようにと体重を落としたり、食事制限したりしてきた。
それなのに結局透析を受けなければならないのか。
何のために努力してきたんだろう。

仕事のことも友人たちのことも家族のことも、
相当の準備をして、一世一代の覚悟を決めて、人生の営みとして、
透析を受け入れていくのだと思っていた。

が、

何を準備したら良いのか、どういう覚悟をしたら納得できるのか、
向き合おうとすると背中を向けてしまう自分をもてあまし、
もどかしいようないたずらな時間が過ぎ、突然のように、待ったなしのように、
透析は始まってしまった。

「スタートしました。今日は初めてなので2時間ね。」
「はい。」
「針先とか指先とか大丈夫?頭痛くない?」
「大丈夫です(腕全体が痛いような気がするけど・・・)。」
「テレビ、ここでイイ?今日はイヤホンは病院のを使って。」
「ありがとうございます。」

静かに目を閉じる。
緊張で全身が硬直してしまっていて、テレビを見る余裕なんて無い。

それでも次第に汗が引いていく。

始まったんだ。
透析をする暮らしが始まったんだ。
1日おきに透析へ通う暮らしが始まったんだ。
もう戻れない、一生こうして透析を続けるんだ。

それってどういう暮らしなんだ?
どうやって暮らしていくんだ?

(「初めての透析(5)」へつづく)


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