何を準備したら良いのか、どういう覚悟をしたら納得できるのか、
向き合おうとすると背中を向けてしまう自分をもてあまし、
もどかしいようないたずらな時間が過ぎ、突然のように、待ったなしのように、
透析は始まってしまった。
「スタートしました。今日は初めてなので2時間ね。」
「はい。」
「針先とか指先とか大丈夫?頭痛くない?」
「大丈夫です(腕全体が痛いような気がするけど・・・)。」
「テレビ、ここでイイ?今日はイヤホンは病院のを使って。」
「ありがとうございます。」
静かに目を閉じる。
緊張で全身が硬直してしまっていて、テレビを見る余裕なんて無い。
それでも次第に汗が引いていく。
始まったんだ。
透析をする暮らしが始まったんだ。
1日おきに透析へ通う暮らしが始まったんだ。
もう戻れない、一生こうして透析を続けるんだ。
それってどういう暮らしなんだ?
どうやって暮らしていくんだ?
(「
初めての透析(5)」へつづく)